なつかしい日曜日
「ん?」
やっと私の方を見てくれた。
私は姿勢を正すことは
しなかった。
もう夜で
お客さんはいない。
父しかいないのだから
少しくらい怠けてもいいだろう。
「…コーヒー、美味しいね」
決して
私が飲んでいるのはコーヒーではない。
ミルクが8割も入っているような
コーヒーだ。
カフェオレとか
コーヒー牛乳とかのレベルではない
気がする。
…だって
苦いんだもん。
「…そうだね」
父はまた
私に背を向けた。
グラスでも拭いているのだ。
キュッキュッと
なんとなくくすぐったい音がした。
「…ねぇ、お父さん。」
父は
振り向かない。