キミに翼を授ける



『えー、サッカー部です。よろしく!』



聞き馴染みのありすぎる声が館内を支配する。


ステージにはいかにも個性の強そうな男たちと、遠目からでもわかる綺麗な女の人が一人。


マイクを持つのは部長である…お兄ちゃん。


何で忘れていたのだろう。
お兄ちゃんが同じ学校に通っていることを。
そして彼が昨夜、部活紹介がどーのこーのと言っていたことを。


何やらきょろきょろとこちらを見渡すお兄ちゃんに嫌な予感がした私は、顔を伏せた。


だけどそれは一足遅かった。



『っと、見つけた!藍、何伏せてんだよ!!」



キーーーーーーン



お兄ちゃんの大きな声と機械の嫌な音が響いた。館内は分かりやすく静まり返る。
そして周りの視線は、お兄ちゃんに指をさされている私に全て突き刺さった。


チラリ、ステージを見上げると、お兄ちゃんも周りの男たちも綺麗な女の人も、みんな私を見ている。



(…消えたい。)




今までも何度か疑ったことはあった。本当に私とこの人は血が繋がっているのか、と。



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