キミに翼を授ける
臆病でネガティブな私に対して、お兄ちゃんはお調子者で無駄に自信家。
それに加え目立ちたがりな彼には、何度私の静かな生活を脅かされだろう。
私を見つければ所構わず大声で名前を呼ぶし。
友だちといるときに割り込んできて、晩御飯の話してくるし。
だけど不思議と彼の周りには人が集まるんだ。
そんな所も含めて、私とお兄ちゃんは正反対。
なんでこうも違うのだろう。
そして…
どうしてくれようこの状況。
『おいっ、聞いてんのか!?』
静かな館内に、またしても馬鹿でかい声が響く。
(目立ちたくないのに…!)
館内は再びざわつき、私から注目が逸れ始めたものの、恥ずかしくてまだ顔を上げることができない。
冷や汗が止まらない。
『ほほう…お兄様を無視するとはいい度胸だ……覚えとけよ!ってか話あるからこの後残れよ!!』
(絶対残らないから…)
そしてマイクは、興奮気味のお兄ちゃんの手から唯一の女性にスルリ、抜き取られる。