キミに翼を授ける
『ごほん、えー、大変失礼いたしました。改めましてサッカー部です!』
綺麗な声がスッと耳を通り、私は顔を上げた。
ステージの真ん中でお兄ちゃんを押し除け前に出た女性は、背が高くてスタイルがいい。短いスカートから伸びる足がすらりと細くて、下から見上げるこの状況に、少しドキドキする。
『私はマネージャーの須和瑞穂(すわみずほ)と申します、よろしくお願いします!』
名乗ったその女性、須和先輩はにっこり微笑んだ。
『実はこの、青林高校サッカー部は一昨年できたばかりで、まだまだ歴史の浅い部活なんです。』
(えっ!)
館内が若干どよめく。
『今3年の私や、さっきのバカキャプテンがこの部を作りました。』
サッカー部なんて元々あるものだと思っていたから、意外な事実に少し驚いた。
それに…バカ兄貴が創部に携わっていたなんて。
『今までは、二学年でやってきました。あなたたちの学年が加わることで、ようやく三学年全て揃うことになります。』