キミに翼を授ける
話を続ける彼女を目視する私の視界の隅には、バカ兄貴が映る。
…まだしつこく、私にガンを飛ばしている。
っていうかもしかして、あのバカが…この高校のサッカー部の初代キャプテンってこと?
…大丈夫なのかな。
『まだ公式戦で結果を残したことはないけれど、皆さんの力が加わることできっと上を目指すことのできる、そんな希望溢れる部活です。一緒に歴史を作りましょう!』
須和先輩の話が終わると、自然と拍手が起こった。私も音が鳴らないくらいに手を叩く。
きっと彼女のようなしっかりしたマネージャーさんがいるから、お兄ちゃんは部長を務められるのだろう。
彼女の話や振る舞いは、私にそんなことを思わせた。
『ぜひこの後の部活見学、来てください!じゃあ最後に…部長から一言。』
(やばっ!)
あいつに再びマイクが渡ると、私は反射的に俯く。
だけどそんな私に反して、お兄ちゃんの発言はまともなものだった。
『サッカーが好きな奴なら誰でも歓迎だ!未経験者でも俺らがしっかり教えてやるから。』