キミに翼を授ける
(ちゃんと部長らしいことも言えるんじゃん…)
ホッと胸を撫で下ろす。
と、お兄ちゃんは
「あ、そうだ」
思い出したかのように付け加えた。
「マネージャーはもう定員オーバーなんで、募集してないんで!」
女子たちの残念がる声があちこちから聞こえる。
そんな不満の声と拍手に包まれながら、お兄ちゃんは豪快に手を振り、部員を引き連れて舞台袖へと姿を消した。
『サッカー部の皆さんありがとうございました。これより部活紹介を終了いたします。』
生徒会の声に、館内の緊張は一気に解かれる。
『今からの時間は部活見学とします。気になる部活動に実際足を運んでください。各部のマネージャーが案内しますので、中庭に集まるようお願いします。』
周りがガタガタと椅子を鳴らして立ち上がり始めると、私は一目散に出口を目指した。
先程お兄ちゃんに残れ、と言われたからだ。
(はやく逃げないと…!)