キミに翼を授ける
(グラウンドって何しに行くの…?とりあえずって、何!?)
疑問が浮かぶものの、館内から人が押し寄せるように出てきて、さっきの今のでこんな光景見られたなら恥ずかしさの極みだ。
"さっきの兄妹だ!"なんて注目されるのが想像できる。
この場を離れるのが最優先だと判断した私は、ズルズルと大人しく引っ張られて行く。
体育館を離れて武道場を越え、コンクリートとグラウンドを仕切るネットを抜けると足元でジャリッと砂が鳴いた。
「ここ、座れ!」
「…」
座れと言われた場所はネットに沿って置かれているベンチだった。
日に焼けてすっかり色の変わってしまったそれはいくつか並んでおり、水筒やタオルが大雑把に置かれている。
あまり状況を把握しきれないまま渋々腰を落とすと、目の前のグラウンドではサッカー部がアップをしていた。人数は10人くらい。
みんなお揃いの練習着に身を包んでいる。
「サッカー部の練習風景だ。」
「見れば分かるけど…」