キミに翼を授ける
笑顔が絶えないその光景に羨望の眼差しを送る。
そんな私の口からは、自然と心の声が漏れる。
「…すごく楽しそう」
「おーすげぇ楽しいよ!」
お兄ちゃんの満面の笑顔は、陽に照らされて尚更眩しい。
私は何をしているときが一番楽しいのだろう。考えてみるけれど、思い当たることがない。
私はこんな風に笑ったこと、あるのかな?
「で、本題なんだけど。」
「あ、うん…」
さっきまでの笑顔とは一転、真剣な表情に切り替わったお兄ちゃんは私の横に腰を落とした。
いきなり改まるものだから、何を言われるんだろうと少し警戒する。
「お前にさ。頼みたいことがあるんだ。」
「…?」