キミに翼を授ける


すると横でお兄ちゃんが呆れたように溜息を吐いた。



「遅ぇよ飛鳥(あすか)。また寝てたのか?」

「あー、はい。ってか、今学校来ました。」



お兄ちゃんと話す"飛鳥"は、まだ少し眠たそうで、何故かそれですら色っぽく思える。



「はぁ!?お前何してんだよ部活だけしに来たわけ!?」

「そんなとこですね。とりあえず走ってきます。」

「ちゃんとストレッチしろよ!?」

「はい」



彼の影が退けると、また、私の目にはキラキラと眩しい練習風景が映し出される。



「ったく、飛鳥は。あいつまじ遅刻魔ってか三年寝太郎っつーか。」



やれやれ、と言うお兄ちゃんにバレないように、私は熱くなった頬を隠した。




頭をかく仕草も大きな欠伸にさえも、彼から目が離せない。目が彼を追いかける。




「俺がお前にマネージャー頼むの、半分はあいつのせいみたいなもんなんだよな。」

「え…?」



また意味の分からないことを言い出したお兄ちゃんに、私の頭は再び混乱する。



< 22 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop