キミに翼を授ける
「それで出来たルールが、マネージャーは学年に一人。やる気のある人が一人いれば、それで十分だって痛感したからさ。」
「…」
「で、どうせマネージャーやりたいって言ってくる奴いっぱいだし?選ぶの面倒じゃん?」
「え、そんな理由!?」
…お兄ちゃんらしい考えだけど。
そんな理由で仕事を押し付けられる私の立場って、何。
反論しようとすると、お兄ちゃんの口が先に言葉を発した。
「それだけじゃない。お前、絶対マネージャーに向いてると思うんだ。」
お兄ちゃんは真っ直ぐな目で、私を見る。
「どこが!向いてないでしょ…!」
何を言い出すんだ、この人は。
お兄ちゃんが一番知っているはずなのに。
私が鈍臭くて、トロくて、人見知りで、運動神経悪くて、ネガティブで…
自虐的な思考を巡らせていると、それはお兄ちゃんに妨げられた。
「はー?お前周りに気遣えるじゃん」
「えっ」
「それに、責任感強い。」
「ちょ」
「よく俺の泥だらけのユニフォーム洗ってくれてんのも知ってるし」
「や、やめてよ…」