キミに翼を授ける
否定する間も与えられず、テンポ良く褒められた私の顔はみるみる紅潮していく。
それを見てニヤリと意地悪に笑い、「それから~」と続けようとするお兄ちゃんの口を目一杯伸ばした手で塞いだ。
「ばか!」
「もがっ」
過大評価しているにしても、お兄ちゃんが私のことをそんな風に思ってくれていなたんて初めて知った。
(…ちょっと、嬉しい。)
お兄ちゃんの口を解放すると、そこにはまだ意地悪な笑みが残されていた。
「お前だとコキ使えるからありがたいんだよな~」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべながらの一言は、照れ隠しなのか本気なのかは分からないけれど、そのお陰で少しこそばゆい空気が払拭された。
「…考えてみる。」
私が言うと、お兄ちゃんは似つかわしくない優しい微笑みを浮かべて空を仰いだ。
同じように見上げてみると、薄っすらオレンジ掛かった空が綺麗に佇んでいた。