キミに翼を授ける


すうっと通り過ぎた風が冷たくて、カーディガンを着ようと鞄の中を漁る。
と、後ろから騒がしい声が近付いてくるのを感じた。


振り向けば、女性を筆頭にした10人くらいの集団がこちらへと向かってくるのが伺える。


集団はネットを潜ると、足を止めた。



「紺、連れて来たよ!」



聞き覚えのある綺麗な声がお兄ちゃんを呼ぶ。
その声の主は、サッカー部の紹介のときにステージに立っていた美女だった。


近くで見るその美女は、遠くから見たときよりもはるかに綺麗。
白い肌に明るい髪がよく似合っている。



「瑞穂!」



お兄ちゃんは立ち上がり、その美女の隣に移った。



「さっきまでこの子たちにトレーニングルームの見学してもらってたんだけど。これからどうする?」

「今からシュート練習するから座って見学しといて!」

「わかった!じゃあ皆こっち~」



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