キミに翼を授ける
綺麗な声に、わらわらと新入生らしい男たちがこちらへやってくる。そして隣のベンチが次々と埋まっていく。
私の座るベンチもギチッと音を立てた。
誰が座ったのだろう、と隣を見ると…
「げ。」
思わず心の声が漏れた。
「…椎名。」
男のわりに少し高めの声。
「なんでいんの。」
そう言った宮永くんの眉間には皺が寄せられて、嫌悪感が漂っていた。
最悪だ…。よりによって、一番会いたくない人が隣に座るなんて。
私は少し口を尖らせる。
「なんでって…お兄ちゃんに連れてこられたからだよ。」
「あー。やっぱりお前が紺くんの妹だったんだな。」
「え、紺くんって…」