キミに翼を授ける
「あー…まぁ、色々あったんだよ!でも。紺くんに話し聞いてもらったらなんか、自分バカだって思って。好きなんだからやるしかねぇって当たり前のこと気付かされたんだ。」
「…」
「そんで、ちょっとだけ一緒にサッカーした!」
…宮永くんが笑うとエクボができることなんて知らなかった。
見慣れない彼の笑顔は、私には少し眩しかった。
宮永くんをこんな表情にすることができるなんて、やっぱりお兄ちゃんと私は正反対だな、と痛感。
「お前と違って、紺くんは自分持ってて堂々としてて、かっけーよ!」
「…それは悪うございました。」
「なんだよその顔!ブスが増す…って、お前。」
と、いきなり宮永くんはジッと熱い視線を私に突き刺した。
あまりにもガン見されるものだから、私は思わず目を逸らす。
「な、なに…?」
「…」
私を見たまま何も言わない彼に目線を戻すと、不本意ながら心臓がドキッと音を立てた。
くりくりした犬みたいな目が私を捉えている。それに、ベンチに置かれている手の筋が妙に男らしい。
(小柄なくせに、案外筋肉質なんだな…)
優しい風が、彼の艶のある亜麻色の髪をサラリと撫でた。