キミに翼を授ける
──────思えば、宮永くんの言葉はいつもひとつだって間違っていない。
いくら言い方がキツくても
"自分の意思ないの?"
それは私の作りものの笑顔を突き破って、私自身を切りつける。
宮永くんを"天敵"だと思うのは、正しいことを言う彼が、本当の私を見抜く彼が、怖いからだ…。
「…あと、紺くんに心配かけてんじゃねーよ」
「え?私がいつ…」
「「キャーーー!!!」」
言い終わらないうちに響いたのは、女たちの甲高い叫び声だった。
何事だ、と声の方を見るといつの間にやらネットの奥に女の集団ができている。
宮永くんに気を取られていた私は思い出したかのようにグラウンドに目をやると、アップはすっかり終わっていて、シュート練習が始まっていた。