キミに翼を授ける
「あー、佐山先輩の番か。」
吸い寄せられるように向いたゴール前には、先ほどのイケメンが立っている。
「佐山先輩って…」
「え、お前知らないの?サッカー部のエース、佐山飛鳥。」
(エースだったんだ…)
佐山先輩の目は先程の眠たそうなものとはまるで別物で、獲物を狙う獣のように鋭い。
と、サイドからボールが上げられる。
彼は、それをゴールに向かって思い切り蹴った。
────・・空気がガラリと変わった。
ボールは無回転で、揺ら揺らとブレながら予想できない方向に曲がった。
そしてそれは、ゴールを大きく揺らす。
見学する周りの新入生たちが、ネットの外のギャラリーが、みんなが息を飲んだ。