キミに翼を授ける
サッカーについて無知の私でも分かる。彼が"すごい"ってこと。
それでも彼自身、何かに納得できないのか少し顔を歪ませた。
「「…っ佐山くぅぅーーーん!こっち見て!!キャーーーーーー!!!」」
再びギャラリーが騒ぎ始めると、私の鼓動も暴れ出す。
(遠い…)
整った容姿に、ずば抜けたサッカーの才能、溢れ出るカリスマ性。
佐山先輩は手の届かない所にいる。
私とは無縁な人。
それは今のでよーくわかった。
わかったはずなのに。
(…近付きたい。)