キミに翼を授ける
「今日の部活紹介で瑞穂が言っていた通り、サッカー部はお前らの学年でやっと三学年揃うことになる。まだ公式戦で結果を残したことはないけど、お前らが加わったら絶対強くなる!」
お兄ちゃんは力強く話すと、とびきりの笑顔を見せた。
「興味持ってくれた奴は明日からの部活体験にも参加してくれよな!じゃあ、今日は解散!」
「「はい!」」
お兄ちゃんの話に、新入生たちは大きく返事をしする。
それに対してお兄ちゃんは、満足そうな表情を浮かべた。そして練習に戻ろうとグラウンドへと足を踏み出す。
「待って、お兄ちゃん…!」
わらわらとネットを潜っていく新入生を背に、お兄ちゃんの手首を掴んだ。
…私は決心したんだ。
マネージャーをする、って。
彼に近付くにはそれしかないから─────。