キミに翼を授ける
「あ、あぁ、そうだけど…」
「頼み事があります。」
乾いた風がヒュー、と通り過ぎる。
私の切り揃えられた髪が流れて、パラパラとボブの形を崩した。
「部活紹介で定員オーバーと言っておられましたが、さっきのシュート練習を見て…私やっぱり諦めたくないって思って」
…なんだか、嫌な予感がする。
「私にマネージャーをさせてくれませんか?」
嫌な予感、的中。
募集していないと言われても頼みに来るなんて、相当マネージャーがしたいんだろう。
そんな強い気持ちを持った人がいるなんて。
それに比べて私は…
胸の痛みは、さらに増す。
「いや、一応そいつに決定してるっていうか…」
お兄ちゃんに指差された私は、ビクッと反応する。
指を追って、その女は振り向いた。
「…!」
そこに堂々と立っているのは、同じクラスの持田芹香(もちだせりか)だった。