キミに翼を授ける


持田さんは学年一可愛いと言われており、よく女子からあることないこと悪口を言われている。
そのせいかクラスでも孤立状態で、彼女が誰かと話しているところをあまり見たことがない。


そんな彼女は険しい顔をすると、小さくてぽてっとした可愛らしい口を動かした。



「私、サッカーが大好きなんです。絶対役に立ってみせます。こんな鈍臭そうなミーハーには負けません」

(鈍臭そうなミーハー!?ひ、否定はできないけど…!)



見た目とギャップのある言葉に心拍数が上がる。
ツンとしたオーラを放っている人だなとは思っていたけど、言葉にもこんなにトゲがあるなんて。


傷付く、というよりは驚きの方が強いけれど、心臓に悪い。



「明日も来ます。今日はこれで失礼します!」



持田さんは最後にこちらを睨むと、ベビードールの香りを残して去って行った。



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