キミに翼を授ける
「ていうかぁ放課後、部活紹介行く?自由参加らしいけど」
そういえば朝、先生がそんなこと言ってたっけ。
ふいに、中学のときは周りに合わせて吹奏楽部に入って足を引っ張ったなぁなんて懐かしいことを思い出す。
適当に入ると中学のときの二の舞になるだろうし、そもそも部活なんて面倒だし、わざわざ部活紹介に行く必要なんてない。
だけど私が返事をする間も与えず、聞き飽きた声は響いた。
「ちょっと怠いけど格好いい先輩いるかもだし~、行こっかぁ。何事もノリだよね」
たった一言 "行かない" それだけなのに。
私は口にすることができなかった。
得意の作り笑いを浮かべて首を縦に振る。
「そうだね」
彼女の意見を否定して、嫌われるのが怖い。
一人になるのが怖い。
でもだからって、佑子ちゃんに合わせてばかりの生活っていうのも楽じゃない。
はぁ、とバレないように溜息を吐く。と、男のわりに少し高めの声が降りかかってきた。
「先輩目当てかよ」