キミに翼を授ける
眩しい世界
今日も、放課後はあっという間にやってきた。
「佑子ちゃん、今日から一緒に帰れないんだけど…」
「ふ〜ん?」
携帯から目を離さない佑子ちゃんに適当に返事をされる。
本当にこの人は私に興味がないんだな。
溜息を零すと、重い足を進めた。
向かうは、更衣室。
更衣室といっても、使われなくなった教室に"女子更衣室"と雑に書かれた紙が貼り付けてあるだけだけど。
扉をガラリと開けると、そこに人の姿はなかった。
(ラッキー!)
堂々と服を脱ぎ、学校指定の体操服に腕を通す。
ちゃっちゃと着替えを終えると荷物を持ってグラウンドへ向かった。
と、ふわり。
鼻腔をくすぐったのは、ベビードールの香り。
思わず足を止め、振り返る。
そこにはピンクブラウンの髪を揺らしながら、授業終わりの騒がしい廊下に消えて行く彼女の後ろ姿があった。