キミに翼を授ける
グラウンドで始まったストレッチの掛け声を背に浴びながら、鼻歌交じりの瑞穂さんについて行く。
…それにしても。
細くて、出るとこ出てて、背が高くて、足が長くて、顔は小さくて。
瑞穂さんの隣を歩くと、ちんちくりんな自分がより一層惨めに思える。
穴が開きそうなくらい彼女を見ていると、いきなりアーモンドアイがこちらを向きツヤツヤした唇が開いた。
「ドリンクは飲料水を使って作るんだ。だから手洗い場じゃなくて、ウォータークーラーを使うの!」
「ウォータークーラー…?」
「そう!渡り廊下の下に自動販売機あるでしょ?その隣に設置されてるの。ほら、あれ!」
「あ、あれのことですか!」
指でボタンを押したり、下のレバーみたいなものを踏むと噴水の様に飲料水が出てくるソレを指差す。
「そうそう!」
「ウォータークーラーって言うんですね!」
そして須和先輩はウォータークーラーの前に立ち、持っていた籠をを地面に置いた。