キミに翼を授ける
私、宮永くんに何かした?
何でここまで言われないといけないの?
作り笑顔は得意なはずなのに、上手く笑えない。
震える唇を噛み締めて落ち着かせるのが、やっと。
「っつーか、そこ俺の席。座りたいんだけど。」
私は思わずバンッと強く机に両手をつき、立ち上がった。
そしてお弁当の入った巾着袋を手に取る。
(こんな奴の席借りるのなんて、こっちも願い下げだ…!)
ドン、と彼と肩がぶつかったけれど一切振り向かない。
俯いたまま自分の席へ戻った。
「いってぇ…」
「ちょっと宮永く~ん、今のは言い過ぎじゃなぁい?」
「…お前は黙れ」
「ひど~!ちょっと可愛らしい顔してるからって!」
「お前は黙れ」
彼の呆れたような、哀れむような表情が脳裏に焼き付いて離れない。
"自分の意思ないの?"
言葉が胸に突き刺さって取れない。
苛立ちを落ち着かせようと机にうつ伏せる。
と、ブレザーのポケットが震えた。