西森さんと瑠愛くん。(仮)
「貴女はなかなか、手厳しい」
保健医は苦笑しながら呟いた。
「みんながそうだから、私もそうする、なんて絶対イヤ。苦痛だけど、今の状況になったことは後悔してないし。
それに、アイツのどこに女子が騒ぐ点があるのか、私には解らないのよね」
両手を組んで、上に向かってゆっくり背筋と腕を引き伸ばす。
「保健医はどう思う? 同じ男として」
私はそのまま天井を仰ぎ、椅子を揺らした。
「……カッコイイと思いますよ。優しい子ですし」
「カッコイイ………例えば、顔?」
天井から荒っぽく視線を戻すと、保健医はニコリと微笑んで、小さく頷いた。
「…………あり得ない!! あり得ない!!! カッコイイとかあり得ない!!!! むしろ整いすぎてて気持ち悪いっ!!!!!」
私はヤツの顔をよくよく思い出して悪寒が走り、身を縮めて二の腕を擦る。
やれやれ、という顔をして、保健医は首を振った。