西森さんと瑠愛くん。(仮)
「えぇ、まぁ」
再び紅茶を啜りながら、保健医は即答しやがった。
さらにムッとして、今度は樋口くんの脳ミソをひっつかみ、投げる体勢になって見せる。
「冗談です、冗談ですって。お願いですから樋口くんを投げないで」
慌てた様子で両手を前に向け、まぁまぁという仕草をしながら、保健医は私を制した。
「……変わり者の保健医とランチを共にしてる時点で、充分変わり者だけどね」
自覚はある、と深い溜め息を吐いて、樋口くんの脳ミソを保健医にそっと投げた。
「……まぁ、人の感じ方なんてそれぞれですから。永峯君をカッコイイと思う人があれば、貴女のように嫌悪感を抱く人もいる。つまりは、そういう事です」
脳ミソを受け取って、たいそう大事な宝みたいに撫でながら、保健医は微笑んだ。
「貴女みたいな人が一人くらい居たって、良いんじゃないですかね」