西森さんと瑠愛くん。(仮)
スーパーボーイと約束。
 
 数日後。いつものように誰よりも朝早く登校して、さっそく下駄箱を開けた。

「え……」

 私は、下駄箱の中を見て驚く。

 上履きが、昨日の帰りのまま、何事も無く綺麗に並んで置かれていた。

(………新手のトラップ?)

 そう思い、私は中を恐る恐る覗き込む。異常はない。

 次に、慎重に手を入れて、上履きの紐部分をつまみ、引っ張ったら発動する罠がないか確かめる。異常はない。

 それから、上履きの中に画鋲やカミソリの類いがないか、360度回しながら見る。やはり異常はない。

 すんすんとニオイを嗅いで、薬品か何かが仕込まれていないか確認する。またも異常は(以下略)

(………どういう事?)

 この状態である事が普通なのに、長い間毎日のように何かしら下駄箱に悲劇が起きていたせいで、何もない事がむしろ普通で無い気がして落ち着かない。

 もう一度上履きと下駄箱のあちこちを見渡して、履いても被害を被らないか確認する。
 
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