西森さんと瑠愛くん。(仮)
「ただしっ!」
喜びのあまり走り出して、駆けずり回りそうな勢いの彼に、ピシャリと言い放つ。
「むこう1ヶ月、女子からの誘いは全て断る! それを守り切れたら、デートでも何でもしてあげるわ」
「絶対だよっ!」
私の腕をつかんでいた手を離し、チワワは迷うことなく、指切りの小指を作った。
私も指切りの形を作り、ゆるゆると差し出すと、彼は折れるかと思うくらいに絡めてきて、ニコニコと笑った。
「指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲~ます。指切った♪」
(……ホントに守れるのかしら?)
正直、成し遂げられないだろうな、と思った。
詰まるところ、私は彼の言葉を、丸っと全部信じたワケではない。
だからこそ、無理だろうと思われる条件を提示した。
1ヶ月・・・勝負よ、永峯 瑠愛。