西森さんと瑠愛くん。(仮)
校内の女子から聞こえてくる話によれば、モーニングコールに始まり、昼休みのアレや放課後のプチデートタイム、夜のおやすみコールの果てまでお断り続きだという。
・・・というか、そんなに特典盛りだくさんだったとは。
よくやるわ、と少々呆れたのは余談だけど、そのせいか、女子たちの騒ぎは幾分か落ち着いている。
私へのイジメも、全くと言って良いほど無くなった。
とは言え、目の敵にされ続けてきた故、お弁当を食べる相手もいないので、結局保健医のところに流れ着いていた。
「この調子だと、1ヶ月大丈夫そうですねぇ」
欠伸のせいで涙がいっぱいになった目を、窓の外の中庭に向けながら、保健医が呟いた。
「………どうかしら」
あと2週間は残っている。
どこかで挫折しろという気持ちと、このまま平和が続いて欲しい祈りと、しかし達成されれば彼とデートだという思いで、私の心中は複雑だった。