西森さんと瑠愛くん。(仮)
 
 校内の女子から聞こえてくる話によれば、モーニングコールに始まり、昼休みのアレや放課後のプチデートタイム、夜のおやすみコールの果てまでお断り続きだという。

 ・・・というか、そんなに特典盛りだくさんだったとは。

 よくやるわ、と少々呆れたのは余談だけど、そのせいか、女子たちの騒ぎは幾分か落ち着いている。


 私へのイジメも、全くと言って良いほど無くなった。


 とは言え、目の敵にされ続けてきた故、お弁当を食べる相手もいないので、結局保健医のところに流れ着いていた。


「この調子だと、1ヶ月大丈夫そうですねぇ」

 欠伸のせいで涙がいっぱいになった目を、窓の外の中庭に向けながら、保健医が呟いた。

「………どうかしら」

 あと2週間は残っている。

 どこかで挫折しろという気持ちと、このまま平和が続いて欲しい祈りと、しかし達成されれば彼とデートだという思いで、私の心中は複雑だった。
 
 
< 28 / 98 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop