西森さんと瑠愛くん。(仮)
 
 でも・・・「校内女子完全制覇」が目的でないとしたら、彼は何故そうまでして、私とのデートを実現させたいのだろう。

 お弁当の差し入れその他は、今まで途切れさせた事がなかったハズだ。


 “女ったらし”の彼が、何を思ってあんな約束を守り切ろうと言うのか?


(………物珍しいからね)

 考えば考えるほどわからないので、無理矢理そう結論付けて、私はまたうつされた欠伸に口を開いた。

 常に緊張状態だったからなのか学校ではしなかった欠伸を、平和になってからよくするようになったと思う。

 それが良いのか悪いのかは別として、心に余裕が生まれたのは、良かったのかなと感じていた。

(………仕方ないな)

 もし、このまま約束が果たされるなら、デートしてやるか、と腹を括る。

 私にとって学校でのこの平和な日々は、ありがたく大きなモノなのだ。


 それを叶えてもらった礼は、返さねばなるまい。


 
< 29 / 98 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop