西森さんと瑠愛くん。(仮)
でも・・・「校内女子完全制覇」が目的でないとしたら、彼は何故そうまでして、私とのデートを実現させたいのだろう。
お弁当の差し入れその他は、今まで途切れさせた事がなかったハズだ。
“女ったらし”の彼が、何を思ってあんな約束を守り切ろうと言うのか?
(………物珍しいからね)
考えば考えるほどわからないので、無理矢理そう結論付けて、私はまたうつされた欠伸に口を開いた。
常に緊張状態だったからなのか学校ではしなかった欠伸を、平和になってからよくするようになったと思う。
それが良いのか悪いのかは別として、心に余裕が生まれたのは、良かったのかなと感じていた。
(………仕方ないな)
もし、このまま約束が果たされるなら、デートしてやるか、と腹を括る。
私にとって学校でのこの平和な日々は、ありがたく大きなモノなのだ。
それを叶えてもらった礼は、返さねばなるまい。