西森さんと瑠愛くん。(仮)
~Good morning.
───・・・それから。
平穏な時間は、あっという間に過ぎていった。
この1ヶ月、イジメは落ち着いていたと言うのに、習慣になってしまった朝早くの登校は、とうとう直らなかった。
今日も綺麗なままの下駄箱と上履きに、僅かな違和感を抱きながら、そっと靴を履き替えた。
「おはよぉ、西森さん」
静かな校舎に突如響き渡った声に、私の身体はビクリと跳ね上がる。
「……っ……おどかさないでよ、もうっ……」
陰からひょいと顔を出した永峯 瑠愛に、私は小さく文句を言った。
「ごめん。そんなに驚くとは思わなかったから…」
困った顔をして、彼はもう一度ごめん、と呟いた。
「………別に。大丈夫」
2、3度深呼吸して、心拍を整えながら返すと、困り顔のチワワは嬉しそうな顔になり、頷いた。