西森さんと瑠愛くん。(仮)
さて。この時間に彼がいるというのは、つまり、「約束」の結果が出たからに他ならない。
おやつを待ちわびるようにソワソワし始めたチワワに、観念したと浅い溜め息を吐く。
「……わかったわよ。約束どおり、デートしてあげるわ」
私がそう言うやいなや、彼は声にならない叫びをあげながら、廊下へと駆け出して行った。
永峯 瑠愛は、私の言った条件を守り切ったのだ。
実のところ、「誘いを断った」真偽を測る方法を確立し忘れていた事に気づき、彼に近づくのも何なので、それとなく有耶無耶にしてやろうと思っていた←
しかし、女子たちの落胆する声と、日常が平穏になるという副産物とに、思いがけず彼が「断り続けている」事実を見た。
有耶無耶になど、出来るわけがなかった。