西森さんと瑠愛くん。(仮)
(……………よし)
もう一度、深く息を吐いて、インターホンを押そうと決意した時、ドールハウスのドアが開いた。
「道に迷ってるかもしれな……あ」
グッド(?)タイミング。渡りにチワワ。
家から丁度よく出てきた彼は泣きそうな顔をしていたが、私と目が合うと、すぐにニコリと微笑んだ。
「おはよう! 良かった、迷子になったかと思って…」
門を開けながら、永峯君は安堵の表情を浮かべた。よほど心配していたのだろう。
「どうぞ、入って入って」
「お邪魔します…」
彼の背中に付いて行き、私はドールハウスの中へと足を踏み入れた。
家の中も外装同様、洋風の造りになっている。ついでに、ふんわりと花のような良い香りがする。
「西森さん、ずいぶん大荷物だね。何が入ってるの?」
用意されていたスリッパに足を通していると、チワワが目ん玉飛び出すかってくらいの勢いで、私の手荷物を見ていた。