西森さんと瑠愛くん。(仮)
「……お弁当とか、作って来たんだけど」
渋々答えると、永峯君はさらに目を丸くした。そんなに瞼かっ開いたら目ん玉落ちるよ!←
「……ホントに? 西森さん作ってくれたの?」
「一応、全部手作りだけど…」
思いの外、彼の反応が薄くて、まずかったかなと思い、目を伏せる。
「……ありがとうっ! 朝早かったのに、大変だったでしょっ」
永峯君は弾かれたようにそう言って、手荷物──お弁当諸々が入ったクーラーバッグを、「持つよ」と引き取ってくれた。
ありがとうが返ってきて、作って来て良かったんだと顔を上げると、彼が少し泣いていた。
「……何泣いているの」
私がぎょっとすると、永峯君は慌てて涙を拭う。
「ご、ごめんっ…だって…西森さんのお弁当だけは一生食べられないと思ってたし…
デートする女の子がお弁当作ってきてくれたの、初めてだから…」
感動しちゃって。彼はそうはにかんだ。