西森さんと瑠愛くん。(仮)
そうか。デートにこぎ着けるためには作っても、目標が達成されてしまえば、もう作らないのか・・・。
でも、泣くほどの事?
(………まったく)
必死に涙を拭うチワワの扱いに困り、撫でるのはさすがに気が引けたので、頭を軽くピシッと叩いてやった。
「ほらっ。女の子を置き去りにして泣くんじゃないっ」
「はいっ」
飼い主とダメ犬なやり取りをしていると、家の奥から、パタパタと足音が近づいてきた。
「るぅ君? お友達は大丈夫だったの?」
若干間延び気味な女性の声が聞こえる。
「うんっ、大丈夫!」
その女性の声に、永峯君はさらにゴシゴシと顔を拭った。
「あら。あらあら。あらあらあら」
近づいてきた足音の主が姿を現し、私を見て驚いている。
私も、かの人を見て驚いた。