西森さんと瑠愛くん。(仮)
~デートでも何でも。
「……コレハ、ナンデショウカ?」
椿さんが作ってくれたココアを飲んでいると、バタバタがしゃがしゃ音を立てて、永峯君が戻って来た。
使途不明の器具とメイクボックス、オレンジ・ギンガムチェックのワンピース…テーブルに並べられたそれらに、思わず片言になる。
「何って、えと、女の子のファッショングッズ?」
「見ればわかるわよ……何これ、どうするの?」
まさか永峯君が女装するのか? などと頭を過るが、チワワが答えたのは、さらにまさかのコトだった。
「西森さんを変身させるんだよ」
「………はいぃぃっ?!」
素っ頓狂な声が出る。手元のカップをひっくり返しそうになって、慌てて受け止める。
「ちょっ、えっ、ドウイウコトッ?!」
狼狽える私を尻目に、永峯君は着々と準備を開始している。
「言葉のままだけど?」
「変身させるって……なんっ……あっ……ジミメガネとはイッショニ歩けないッテカッ!?」