西森さんと瑠愛くん。(仮)
・・・そうです。
出来るだけ学校で目立たないように、視力は良いのに黒ぶちの伊達眼鏡をかけて、昭和の女学生よろしく三つ編みにしています。
今日だって、いつも通りで良いかと思って、通常運転で来ました。
「……でででもははは恥ずかしいし……」
眼鏡姿の自分をすっかり見慣れてしまっていて、素顔を晒すのに抵抗があった。
「“何でもする”って言ったじゃーん」
そう言って、チワワは口を尖らせる。
「誰がいつそんな……」
事を言った、と思いながら記憶を遡ると、その場面に出会した。
『…守り切れたら、デートでも“何でも”してあげるわ』
私は確かに、そう言ったのだ。
「……………」
やってしまった・・・と黙っていると、永峯君はフフフと得意気に笑った。
「良いよね?」
もうここまで来たら、私に拒否権など無いと、わかってるクセに。
母親似の楽しそうな笑顔に憎たらしさを覚えながら、私は頷いた。