西森さんと瑠愛くん。(仮)
 
「せっかくの綺麗な肌が荒れるのは嫌だから、パパッと済ますね」

 刺々しさから一転、元のチワワに戻って、先程の発言など無かったかのように、永峯君は私の顔をコットンで撫でた。

 ひんやりとした感触と、こそばゆさを感じる。



 あんなに逃れたかった彼の指先が自分に触れているのに、鳥肌も悪寒もどこかにいってしまっていた。


 王子様オーラもへったくれない素のままの彼に、私は、絆されてしまったのかもしれない。



(……チワワのままでいれば良いのに)

 そうすれば、『護り隊』に入るまではいかなくとも、普通に接するくらいは・・・。

(……いや、やっぱり無いわ)

 1ヶ月間のあの平穏な日々を思い出して、何も自分からわざわざケンカを売るよう事はすまい、と思い直した。
 
< 45 / 98 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop