西森さんと瑠愛くん。(仮)
「せっかくの綺麗な肌が荒れるのは嫌だから、パパッと済ますね」
刺々しさから一転、元のチワワに戻って、先程の発言など無かったかのように、永峯君は私の顔をコットンで撫でた。
ひんやりとした感触と、こそばゆさを感じる。
あんなに逃れたかった彼の指先が自分に触れているのに、鳥肌も悪寒もどこかにいってしまっていた。
王子様オーラもへったくれない素のままの彼に、私は、絆されてしまったのかもしれない。
(……チワワのままでいれば良いのに)
そうすれば、『護り隊』に入るまではいかなくとも、普通に接するくらいは・・・。
(……いや、やっぱり無いわ)
1ヶ月間のあの平穏な日々を思い出して、何も自分からわざわざケンカを売るよう事はすまい、と思い直した。