西森さんと瑠愛くん。(仮)
 
 芽吹ちゃんの他に、月葉(つきは)さんというお姉さんがいる事。

 パティシエで、今は結婚して家を出て、旦那さんと小さなケーキ屋さんを営んでいるそうだ。

 少し歳が離れているというお姉さんも、きっとメッチャ美人かメッチャ可愛いのだろうな、と思った。
 


 椿さんは洋裁が得意だという事。

 家で洋服を作って、ネットで販売している。私の着ているオレンジ・ギンガムチェックのワンピースも、椿さんが作ったのだと教えてくれた。

 後でちゃんとお礼を言わなくちゃ、と思った。


「そんなのに囲まれて育ったからさ、俺もいろいろと乙女チックな趣味に、なっちゃって……」

 それまで嬉々として話していた永峯君が、急にしりすぼみになり、やがて沈黙する。

 どうしたのだろうと思い彼を見ると、沈痛な面持ちで、車窓の外を見つめていた。

「………永峯君?」

 そっと声をかけると、何か意を決したように、私を見る。

「キモいかな」

「え?」
 
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