西森さんと瑠愛くん。(仮)
 
「男がメイクとか、裁縫とか、お菓子作ったりとか、そういうの好きだと、やっぱキモい?」

 飼い主に追い縋るようなチワワの顔は、泣き出しそうにクシャリと歪んだ。


 ・・・きっと、否定され続けてきたんだろうな、と感じた。


 改造の時に見せた瞳の揺らぎも翳りも、また否定されるかもしれない恐怖があったのだろう。

 今時そんな男性たくさんいるというのに──そう思わせないのは、彼の外見故なのか。

 もっと男らしい趣味を期待され、本当に好きな事を否定され、傷ついてきた・・・。


 帽子を目深に被っていてもわかるくらい、涙をいっぱいに湛えた永峯君が、それを物語っている。
 
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