西森さんと瑠愛くん。(仮)
 
「……さっきも言ったじゃない。変じゃないし、キモくもない」

「本当に……?」

「本当に」

 私は、言葉が上手な方じゃない。永峯君を安心させるセリフを、多分言えない。

 その代わり、真っ直ぐに、ただ真っ直ぐに、彼を見つめた。

「……母さんがいたから、言えなかったかなって、不安になったんだ」

 ふと視線を逸らした彼は、しかし、信じるのを拒んだわけではない。

 永峯君のほんのりと紅くなった頬に、照れただけなのだとわかった。

「ご心配なく。椿さんがいたとしても、私は堂々と永峯君にダメ出しするから」

「……そうだね。西森さんならやりそう」

 目元を拭いながら、永峯君は笑った。

「ありがとう。キモくないって言ってくれて、嬉しいよ」


 ・・・保健医の所で散々気持ち悪いと言っていた事は、彼には内緒にしておいてください。
 
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