西森さんと瑠愛くん。(仮)
「西森さん、料理上手だね」
「………そう?」
「こんなこと言ったら、西森さん怒るかもしれないけど…今まで女の子に作ってもらったお弁当で、いっちばん美味しいよ」
そう言って、永峯君はタコさんウィンナーをつまみ、タコの真似なのか、口を突き出して見せる。
その顔がおかしくて、思わず小さく吹き出した。
「……お世辞でも嬉しいわ。妙に説得力あるし」
お世辞じゃないよー、と拗ねたタコチワワの口に、タコさんウィンナーは消えていった。
「……既製品とか冷凍食品しか詰まってないお弁当ばっかりだったから。ホント、美味しい」
卵焼きをまじまじと見ながら呟いた彼は、どこか悲しそうだった。
「作ってもらったから無下にするわけにはいかないけど…毎日そんなお弁当だと、正直しんどいよ…」
永峯君は、大層有り難いものみたいに拝んでから、卵焼きを頬張った。