西森さんと瑠愛くん。(仮)
「……芽吹ちゃんと俺って、似てる?」
「……うん、とても良く」
「……二人とも……多分、姉さんも、みんな母さんに似てるんだと思う」
躊躇いがちに、永峯君は続けた。
「……三人とも、父親が違うんだ」
───“俺の”父さんは、母さんを傷つけて出て行った。
永峯君がそういう言い方をした意味が、ようやくわかった。
「俺は、その人がどんな人なのか知らない……酷い奴だって事だけは、知ってる」
その人は、母さんを自分だけのモノにしておきたい人だった。
他の男と目を合わせるだけでも、嫉妬心を剥き出しにして怒ったという。
「……息子の俺が言うのもなんだけど、ウチの母さん、けっこう綺麗な人でしょう?」
「……そうね」
「だから……言い寄る男がいくらでもいるって疑い始めたら、止まらなかったんだ」
・・・俺がお腹にいるって告げる前に、その人は結局、母さんを散々“浮気女”呼ばわりして出て行った。