西森さんと瑠愛くん。(仮)
 
 急に抗う力がなくなり、永峯君は転びそうになる。

「………撮った事、ないの?」

 寸でのところで体勢を立て直し私を見た彼に訊ねた。

「うん、無いよ」

 あっさりと答えが返ってきた。

「………撮りまくられてると思ってた」

 一回デート権を手にした多数の女の子と、撮りまくっているのだろうと勝手に想像していた。

 そんな心中を察したのか、永峯君は苦笑して、頬を指でポリポリと掻いた。

「んー…みんな、そういうのを希望してるワケじゃないって言うか…」

 言葉を濁すあたり、あまり訊かれたくない事なのだとわかった。

 たくさんデート経験はあるのに、プリクラ撮影は未知の領域。目を輝かせていたのも頷ける。

「………仕方ないわね」

 チワワに引かれていた腕を、今度は私が引いていく。
 
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