西森さんと瑠愛くん。(仮)
「えっ?」
「撮るわよ、撮ってあげるわよ。その代わり、私みたいなのでも文句言わないでよ?」
永峯君の腕を引いて、店内に入る。
「ホントにっ?!」
弾んだ声が返ってきて、途端に先頭が彼に入れ替わる。
「こっちこっち! わぁ、どれにしよう!」
まるでクリスマスプレゼントを選ぶ子どものよう。
乱立されたプリクラの機械をキョロキョロと見回りながら、永峯君は大喜びだ。
(単純ね……)
本当に犬みたい、とは、口に出さないでおく。
散々迷って、『当店一番人気☆』のポップが貼ってある物に決めた。
休日とあって、プリクラのある一角は特に混みあっている。女の子たちの集団が、はしゃいだ声で順番を待っていた。
その中に、男女二人だけで並ぶのは、何となく恥ずかしい。
「………西森さん」
落ち着かない心持ちで下を向いていると、永峯君に声をかけられた。