西森さんと瑠愛くん。(仮)
「元気だよ。てか、昨日会ったばっかじゃん」
部屋着に着替えてきたのか、永峯君はラフな格好になっていた。
苦笑いしながら、月葉さんと私の側に歩み寄る。
「西森さん、この人が……」
「この人って何よ姉に向かって~! 可愛こちゃんにはさっきちゃんと挨拶しましたぁ」
月葉さんは私に抱きつき、永峯君にベーッと舌を出した。
「………月葉ちゃん。お願いだから、家族以外にむやみに抱きつかないで」
「良いじゃないのぉ。可愛いモノはまず抱きしめないと♪」
カワイイって、ワタシのコトディスカ??
美人に抱きしめられ、良い匂いにフラフラして、心の中の独り言まで片言になる。
「……西森さん、嫌なら振り払って良いよ」
「えっ? あっ、はあ……」
チワワが珍しくご立腹である。明らかに声に怒気がこもっている。
ケンカになっては申し訳ない・・・。
ヤダヤダ~となおも抱きしめてくる月葉さんの腕から、とりあえず対不審者の要領で、スルリと抜け出してみせた。