西森さんと瑠愛くん。(仮)
「そういえば、西森さんのことは全然聞けなかったね」
再び夜空を見上げながら、永峯君が思い出したように呟いたのが聞こえた。
私のこと・・・。
確かに、デートはお互いを知るためにするモノ、と自分で言っておいて、自身の話は何一つしなかった。
けれど、特別何か語れるような人間性でも人生でもない気がするし・・・。
「……それは、また今度ね」
誤魔化すのも変だし、とりあえず先延ばしにしてみた。
すると、大きな目を頭上の星よろしくキラキラさせながら、チワワの顔がヒュッとこちらを向いた。
「それって、次もあるって、期待して良いの?」
永峯君にとっては思いがけない事だったようで、声を上ずらせていた。
私も私で、次がある、と何の気なしに考えていたことに驚いた。
(………まったくもう………)