西森さんと瑠愛くん。(仮)
チワワの永峯君には、やはり弱い。何でも「yes」と言ってしまいそうになる。
しかし、それでは飼い主としての面目が立たないので・・・違う違う、誰が飼い主か。
「………気が向いたらね」
素っ気なく返すが、照れ隠しなのだとすでにバレバレのようで、永峯君はくふふと笑う。
「西森さんのこと、1つ、わかった。ツンデレ」
素直じゃないけど、優しいの。
付け加えてそう言った彼の背中を、思い切り平手打つ。もちろん照れ隠しである。
「痛っ! わりと本気で痛っ! 意外と力も強っ!」
痛がってるのか面白がってるのか、チワワは泣き笑いの表情を浮かべる。
その顔が滑稽で、慕わしくて、アハハと声を出して笑ってしまった。
───彼が一緒だと、笑える。
自分の笑い声にハッとして、そう気がついた。
胸の奥が、ギュッとなった。