嘘と秘密~空白の恋~
その女の子を連れて階段を上り、音楽室へと向かう。


こうやって後輩と並んで歩くと、本当に先輩になったんだと実感できる。


…たとえ初対面の奴であっても。


俺は隣にいる後輩をチラッと横目で見る。


うつむいていた。


さっきから俯いているのに、まだ…。


…緊張しているんだろうな、きっと。


先輩に初めて話しかけて。


しかもその先輩が男で俺みたいな奴で。


無理もないか。


俺は意味不明な同情を寄せる。


会話のないまま音楽室のある階へと着いた。


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