嘘と秘密~空白の恋~
俺は右へと進む。


後輩は左へと行きかけていた体をクイッと戻し、俺についてくる。


曲がるとすぐに音楽室のプレートが目に入る。


今さらだけど、何の用かな?


今日は部活はしていないはずだけど。


ま、いっか。


俺には関係ないし。


「このまま真っ直ぐ行けば着くから。もう見えてるしね」


にっこり笑いながら言えた。


よし、いいぞ、俺。


「…ありがとうございました…!!」


その子は控え目にお礼を言う。


人助けはいい気分ですな。


俺は手を上げ、来た道を戻ろうとした。



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